なろうレビュー「私は戦うダンジョンマスター」

 今回紹介する作品は「私は戦うダンジョンマスター」です。サイコパスJKがダンジョンマスターになって、異世界人をダンジョンで殺しまくるお話です。この作品、主人公の女の子が魅力的です。他作品で見たことがない不思議な魅力を持っています。

 本レビューはあらすじ、次に主人公の魅力を語っていこうと思います。以下、主人公は作中自分の名前を名乗らないため、作中偽名として名乗っていたメディカと呼びます。

 主人公、メディカはある日異世界人が世界のコアを抜き取る所に出くわします。そして、世界は崩壊、異世界に転移します。そして、転移先でメディカは世界のコアを抜き取った男たちを殺し、ダンジョンマスターとなります。ダンジョンには命を集めることで、様々なものを作る機能があり、その中には世界のコアもありました。そこで、メディカは異世界人をダンジョンで殺して、命を奪い、自分の世界を取り戻すことを決意します。しかし、ダンジョンにはなにもない。だから、メディカが宝になり、メディカがトラップとなり、メディカが侵入者と戦う、そんな作品が「私は戦うダンジョンマスター」です。

 メディカはサイコパスです。あらすじでも説明したように、メディカの目的である世界のコアの作成には異世界人の命が必要です。しかし、作中を通して異世界人の命を奪うことに対してメディカが葛藤や苦悩は見せる場面はありません。殺人を楽しんでるわけでもありません、淡々と目的を達成するために殺します。倫理観が欠落してるような印象を受ける主人公です。一方で、メディカには普通の女の子としての一面もあります。

 特にメディカが普通の子だと感じるのは、装備モンスターと交流する場面です。メディカはダンジョンで侵入者と戦います。ですが、メディカには戦闘力が無い。普通のJKです。そこで、メディカはダンジョンのモンスターである、リビングアーマーやソード、マントなどを装備します。パワードスーツのような扱いといえばわかりやすいでしょうか。当然、装備するモンスターにも意思はあります。モンスターなので喋ることはできませんが、様々な動きで自分の感情を表します。危険があればメディカに知らせますし、なにかメディカにとって喜ばしいことがあれば、一緒に喜んでくれます。そんな装備モンスターたちとメディカの交流は和みます。特にメディカのネーミングセンスは最悪でメディカのネーミングに対してモンスターが露骨に嫌そうな態度を取るのが微笑ましいです。

 メディカの魅力は、殺人を厭わない冷徹な面と装備モンスターと交流する普通の女の子としての面、この2つの面を2つの人格としてではなく、1つの人格で併せ持っている点です。

 ダンジョンへの侵入者を殺した後、国を滅ぼした後、激闘を制した後、どんな場面でもこの二面性は変わりません。サイコパスというと、極端なキャラが多いです。ですが、メディカはこの二面性がとてもフラットです。境目がないのです。このバランスが他作品のサイコパスキャラとメディカを分ける点だと思います。サイコパスなのにサイコパスっぽさを感じさせないキャラです。こういった造形のキャラを私は他作品で見たことありません。

 このような性格の主人公は好みが別れます。殺人に対して、全く苦悩がないのは非現実的であるとかゲーム感覚であるとか、苦悩があった方が面白いとか、そういう感想を持つ人もいると思います。私は、普通の主人公もサイコパスな主人公も両方楽しむのが最も良いと思いますが、やはり好みは分かれると思います。とはいえ、絵に描いたようなサイコパスキャラとは少し違うキャラです。

 なので、とりあえず読んでほしいです。本作は展開もダレませんし、文字数もそこまで多くないです。文章も読みやすいです。そして、私が説明したメディカの魅力は作中序盤からわかります。ポイント的にも書籍化していないのが不思議な作品です。なろうの様々なダンジョンマスター物、サイコパス系主人公物、それらの中でも異質なのに完成度が高い、隠れた名作とも言える作品です。もし、私のレビューで興味を持っていただいたら、下のリンクから是非是非。

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